研究者を目指すという熱病

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法学部への編入を目指して:2年制の編入予備校(1年目後期)における英語対策の授業

   今回は、 4年制大学の法学部への編入を目指す専門学校(編入予備校)の2年制コースに通っていた私が、専門学校1年目の後期に、私自身が受講した英語対策の授業について紹介したいと思います。ここでは、法学部の編入試験における英語科目において出題されていることの多い、英語の長文和訳について、予備校ではいかなる教材が使われ、いかなる指導が行われていたか、を書いていきたいと思います。

 というのも、多くの大学における法学部の編入試験では、ある程度まとまった分量の英文の和訳を試験で課されるからです。具体的にどのような英文かというと、法学についての英文をはじめとして、法学とは直接的には関わりの薄い社会科学・自然科学についての英文や、新聞・雑誌記事の時事問題についての英文が出題されていました。

 このような編入試験における英語の長文対策について予備校がいかなる指導を提供していたかについて紹介することによって、現在、編入予備校に通うことを検討されている方や、編入試験の英語対策の方法に悩んでいる独学の受験生にとって参考となれば幸いです。

 さて、私が通っていた編入予備校の専門学校では、1年目の前期の学期末に、自分が編入を志望する学部を決めることとなっていました。つまり、受講生はそれぞれ、法学部、経済学部、経営学部、文学部といった志望学部を決めることとなっていました。そして、1年目の後期からは、この志望学部によってクラスが組み分けられていました。

 それゆえに、1年目の後期からは、①法学部の編入試験を具体的に念頭においた英語の長文和訳対策の授業が始まりました。この授業では、繰り返しとなりますが、法学部を志望する学生のみが受講していました。

 

 また、私が通っていた予備校では、②予備校内において定期的に行われる英語の実力テストおよび英語科目の期末試験の結果により、受講生の志望学部とは無関係に、純粋に英語力のレベルによって振り分けられたクラスごとの英語長文対策の授業も存在しました。

 なお厳密に言えば、私が通っていた予備校では、TOEICや英検対策の授業もあったのですが、この記事では取り扱いません。

 

 まず、①(a)法学部の編入試験を具体的に念頭においた英語の長文和訳対策の授業について整理していきたいと思います。

 

 1年目の後期から始まった「法学専門英書購読」の授業では、英語の長文和訳対策として、堀田秀吾ほか『Law in Japan,Law in the World.英語で学ぶ日本の法、世界の法』(朝日出版社、2012年)を英書購読しました。

 

 本書に掲載されている英文は易しい(読みやすい)もので構成されていたので、この授業の中で法律学についての英文を初めて読んだ私にとっては、とっつきやすい1冊でした。またReadingセクションの下部に、英文の文中に登場した法律用語の英単語が記載されているので、受験勉強にも非常に役立ちました。英語の長文に対応する和訳こそついていないものの、英文法を一通り勉強された方であれば、十分に一人でも読み進めることのできるレベルの1冊だと思います。

 この教材を用いた授業では、事前に予習するよう指示された範囲を、講師の先生に指名された学生がそれぞれ一文ずつ順番に英文の翻訳を答えた後、講師の先生が学生の翻訳を修正しつつ、文法的な解説を行うという形式で行われました。高校のいわゆる「リーディング」の授業を想起してくださればよいと思います。

 

 もっとも、先ほど、本書に掲載されている英文はかなり易しいと書きましたけれども、授業では本書をそれほどサクサクと読み進めることができたわけではありませんでした。これは、この授業では、法学部への編入を志望する学生が集められていたので、それぞれの受講生の英語力のレベルにバラつきがあったことが理由で、なかなか要領よく答えることができない受講生が多くいたからです(英文のレベルが〔やさしい〕と評価したりと偉そうなことを言っていますが、私もその一人だったことを付言しておきます)。その意味で、予備校の授業には集団授業特有のデメリットがあったといえます。結局、本書の講読は、年度を跨いだ、たしか6月あたりまで続いたと記憶しております。

 しかし、いずれにしても、初めて接する「法律英語」の教材、そしてまた授業としては、(当時、大学受験に失敗した)自分のレベルには合っていたのではないか、と思います。間違いなく、編入過去問において出題された、法学についての長文英語を解くためのブリッジブックになったと思います。

 

 次に、「専門英書講読(総合)」という授業では、①(b)Harrison M.Holland(中田清一註解)『UNDERSTANDING AMERICA 〔アメリカ社会の現実〕(成美堂、2000年)という本を読み進めました。

 本書は、第一章では「日米関係」について、第2章では「Civil Rights(公民権)」や「Crime(犯罪)」といったアメリカ社会における問題について、第4章では、行政機関・立法機関・司法機関の三権について、それぞれ取り扱われています。つまり、この授業では、狭義の意味での法学についての専門英書を講読するのではなく、アメリカ社会について様々な専門領域を簡潔に、かつ、横断的に取り扱った英書を講読することになりました。

 それゆえ、この授業には、狭義の法学(法律学といったほうがわかりやすいかもしれません)を大学で勉強することを志望する受講生だけでなく、政治学国際政治学などを含む)や政策学などを大学で勉強することを志望する受講生が広く参加していました。

 とりわけ、法学系の教員と政治学系の教員が共に「法学部」に所属する大学を志望していた私にとっては-精確にいえば、法学部への編入試験を志望していた同級生にとってもおそらく-、この授業において、様々な専門領域を簡潔にかつ横断的に取り扱った英文をこの時期に丁寧に読むことができたのは、後の受験勉強に確実に繋がりました。

 私が英語に慣れることができたのは、この授業のおかげだったのかな、と振り返ることができます。この授業を担当された講師の先生には(も)、とても感謝しています。

 次に、②英語力のレベルによって振り分けられたクラスごとの英語長文対策の授業がありました。私たちの学年は70人ほどが在籍していたところ、その英語のレベルにしたがって、4クラスに振り分けられました。クラスごとによって使用教材も異なり、一番下のクラスでは初歩的な英文法の知識を確認するような授業も行われていたそうです。私自身は一番上のクラスではなく、上から2番目のクラスでした。

 この「比較文化英書講読」という授業では、アンソニーセリック・ジョンバートン『変容する世界を読み解く』(成美堂、2007年)を読み進めました。この授業でも、高校の英語の「リーディング」と同じような授業の形式で行われました。

 

 以上のようなかたちで、編入予備校の1年目後期における英語の長文対策の授業が実施されていました。

 これらの授業に共通するのは、事前に予習するよう指示された英文を精読したうえで、授業の中で、先生によって指名された受講生が英文の一文ないしパラグラフずつの翻訳を解答した後、先生が学生の翻訳を修正しつつ、適宜、文法を解説するという形式で授業が行われたということです。それゆえに、おそらく、英語の長文対策としてはオーソドックスな、一般的な教授方式が採られていたのではないかと思います。

 この記事は、いわゆる編入予備校の受験生がどの程度のレベルの英文を素材に受験勉強を進めていたかを知っていただくことができれば、と考え、簡単に取り纏めたものです。この記事が、みなさまの英語の長文対策や、予備校への入学を検討している方、あるいは編入予備校の受験生と競合する独学による受験生にとって、参考となるものとなれば、私にとっては幸いです。

 ぜひ、この記事の中で紹介した本を、実際に手にとってみてください。

 この記事の続きは、以下のリンク先の記事となります。ぜひご覧ください。

hougaku-0106.hatenablog.com