研究者を目指すという熱病

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コロナウィルス禍における院生協議会の運営に関する覚書

 私は、過去の記事でもふれたとおり、(私が院生として所属する)法学研究科に大学院生および研究生として所属する者により構成される院生協議会の委員長を務めさせていただいている。その中で、2020年度の運営においては、コロナウィルスによる影響を大きく受けることとなった。この記事では、コロナウィルスの院生協議会の運営への影響およびその対応について簡単に書きとどめてみたい。さらに、それらの対応の中で、私が個人的に感じたことをオープンに記録しておきたい。まだ年度の半ばという中途半端な時期ではあるが、私自身が失念しないうちに、備忘録代わりとしてここに簡潔に記録しておきたい。

1.大学院新入生ガイダンス

 過去に投稿した記事の中でも述べたように、大学院の新入生のためのガイダンスは、私の大学では、院生協議会が開催することとなっている。それゆえに、慣習上、法学研究科の教員の先生方や法学研究科事務が関与しない形で行われている。

 したがって、コロナウィルスが猛威を奮っていた4月初週頃に、院生協議会は自己の責任により、大学院の新入生ガイダンスを主催することとなった。そして、この院生協議会の委員長である私は、2020年度の新入生ガイダンス開催における責任者であった。

 この新入生ガイダンスの実施に関して、当時の私には、例年どおり4月初週に開催するか、それとも感染状況が沈静化するまで延期するか、あるいは対面での開催を中止した上でリモート会議(Skype)の方法により実施するか、という選択肢があった。

 結果的に、私は、例年通りの時期にガイダンスを実施することを決断し、次のようなコロナウィルスの感染予防対策を講じることにした。

・大教室での開催

・換気の徹底

・マスク・消毒液の配布

 

 開催を決断する決め手となった理由として、(ⅰ)できるだけ早いタイミングで新入生と対面で膝を突き合わせることにより、彼らが抱えているであろう大学院の新生活についての不安を取り除きたかったこと、とりわけこの新入生の中に中国からの留学生が含まれていたこと、(ⅱ)ガイダンス運営側の院生と参加者(新入生)とをあわせて10人未満の者しか開催会場に同席しない、という事実を挙げることができる。

  なおこれらの詳細に関しては、過去の記事の中で述べたとおりである。

hougaku-0106.hatenablog.com

  このようにして私は新入生ガイダンスを実施した。

 さて、私は、対面の方法によりこの4月初週の時期に開催したことにより、次のような効果を得ることができたと考える。というのも、私の大学では、この開催直後に学生のキャンパスへの入校禁止措置がとられ、それから数ヶ月間は、やや緩和された入校制限措置に切り替わったものの、よほどの偶然がなければ、新入生らと顔をつき合わせて、コミュニケーションを交わす機会がなかったからである。少なくとも、新入生らに、彼らが大学院生になったことを改めて実感して貰えるような機会を提供することができたのではないか、さらに彼らが大学院での研究生活を行うための必要最低限の情報を提供することができたのではないか、と考える。

 もっとも、この新入生ガイダンスを実施する方法に関しては、なお検討の余地があることも否定しない。とりわけ、Zoom、Cisco Webex、並びにSkypeなどのリモート会議の方法による実施によっても、上記で述べたガイダンスの効用を得ることができたのではないか、という問いに対して、私は明確な答えを用意できていない(というのが率直な気持ちである)。

 というのも、後述するとおり、このガイダンス実施後に、去る9月に行った今年度の院生協議会の総会をCisco Webexにより執り行ったところ、その総会では、全く支障なく院生間でのコミュニケーションをとることができたと評価しているからである。

 また、4月から始まった2020年度前期の院ゼミは本学でも遠隔授業により実施されたのであるが、この院ゼミにおいてもZoomやCisco Webexにより、担当教員の先生方および参加者である院生と、全く支障なくコミュニケーションをとることができたと評価している。

 それゆえに、このような評価にもとづくと、もし、新入生ガイダンスをリモート会議の方法により実施していたとしても、何ら支障がなかったのではないか、と事後評価せざるを得ない。

 したがって、私自身は実のところ、その開催方法に関していずれの方法が適切であったか、まだ答えを出せていないというのが本音である。

 しかし、いずれにせよ、もし来年度もこのコロナウィルスの同様の感染状況が継続している場合には、対面による開催とリモートによる開催のおおよそ同等の有用性を措定した上で、どのような実施方法(対面か、遠隔か)を選択するかについて、ガイダンス参加者および関係人の意見を聴取しなければならないと考えている。

 

2.院生協議会総会のリモート会議による開催

  院生協議会では、院生協議会の規約により、年に二度の総会を開催することが定められている。現時点ですでに春季総会の開催を終えている。

 この春季総会は、例年、5月頃に開催されてきたものであるが、今年度は、やはりコロナウィルスの影響により、春季総会の開催を延期することとし、つい先月の9月最終週にようやくリモート会議の方法によって開催することができた。

 4月の段階で決定した総会の延期と、その後のリモート会議による総会の実施というこれらの対応も、今から振り返ってみれば、やや検証の余地がある対応であると思われる。というのも、先月に行った春季院生総会をCisco Webexにより開催したところ、そこでも、全く差し障りなく院生間でのコミュニケーションをとることができたからである。

 もし、このように4月の時点でリモート会議による開催を即座に決断し、例年通りの時期に総会を開催することができていたならば、新入生との関係をより深めることができたのではないかと考える。実際、新入生に院生協議会の活動に初めて参加していただいたのは、この春季総会が初めての機会であり、新入生はこの場で初めて、昨年度からの在学生と顔を合わせることとなった。

 また、新入生の中には春季総会の開催案内をメーリングリストに流しても、連絡が返って来ず、総会当日に出席しなかった院生もいた。法学研究科事務の仲介によれば、当該院生はその案内メイルを確認していなかったようであるが、このような状況が発生した原因は、当該院生のズボラな性格にその原因があったというよりも、院生協議会および委員長の私が新入生との関係を上手く構築することができず、院生協議会の活動の意義を理解して貰えるような努力が欠けていたからであると分析することもできる。その限りで、私が、春季総会を早い時期に開催しなかったことを含めて、新入生とマメに”私的にも”連絡を行うことを欠いていたのは、率直に反省すべき点であるように思う。

 さらに、春季総会を9月に行ったことにより、院生協議会執行部の(2019年度から2020年度への)引継ぎを正式に、この時期まで行うことができなかったことも述べておかなければならない(もっとも、執行部のうち、委員長および会計委員は前年度の顔ぶれと同じであったことが理由で、このように引継ぎが遅れたことによる実際の支障はそれほど大きくなかったことも付け加えておきたい)。

 これらの状況を総合的に俯瞰的に見ると、例年の開催時期に倣って5月の時点でのリモート会議による総会の実施を決断してもよかったのではないか、というのが私のオープンな意見である。

 最後に、リモート会議により総会を実施したこととの関連では、伝統的に春季総会の場で行われる前年度会計書類の監査方法に係る問題が顕在化しそうになった点についても言及しておきたい。

 弊院生協議会では、会計委員が作成した前年度会計書類への監査役による押印が必要であることは、院生協議会の規約上は定められていないのだが、慣習上、この押印を必要とするという取り扱いがなされてきたようである。

 それゆえに、9月の春季総会では、院生協議会の昨年度の会計書類の監査の中で監査役による印鑑が必要か、という問題が顕在化しそうになった。この問題が生じた背景には、リモート会議の方法をとったことにより、例年のように総会の場で会計委員が監査役からの押印を得ることができない事情があった。

 もっとも幸いなことに、会計委員が事前に監査役から印鑑を得ていたことにより、かかる問題は顕在化しなかった。

 しかしながら、今後もコロナウィルスによる影響が継続する可能性に鑑みると、さらにそもそも会計委員と監査役の負担軽減に鑑みると、前年度会計書類に監査役の押印が必要であるかについて、十分に再考する必要があると思われる。

 

3.おわりに

 以上で述べたように、コロナウィルスの院生協議会の運営への影響は決して小さいものではなく、その影響に対する私の対応には再検証しなければならない点がいくつもあったと整理できる。この経験を、今後の院生協議会の運営に活かしたいと考えている。

 

 また、こうした対応をこの記事でオープンにすることにより、他研究科、他大学の院生協議会およびそれに類似する団体に所属する皆様の参考となれば、私にとっては幸いです。さらに、私の上記の対応を反面教師にすることにより、より望ましい団体運営の参考としてご活用していただければ、私にとっては望外の喜びとなります。