研究者を目指すという熱病

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編入予備校に入学するまで、編入に対する不安

   前回のエントリーで記事にしたとおり、宅浪が完全に失敗し、私はなんとかどんな方法でもよいから大学に滑り込めないか、という動機からインターネットの検索機能を駆使し、大学編入予備校のホームページにたどり着きました。

 大学編入は一般に、専門科目(法学だったり文学だったり社会学だったり心理学だったり自分の専攻による)+英語という二科目による選抜方法が取られ、実は高校時代から受験勉強をほっぽりだして社会科学にかかる新書を読み漁っていたこともあって、その入試制度が魅力的にうつりました。

 「自分に関心のある専門科目で受験ができる」という編入予備校のコピーに見事に釣られてしまったのです。何より、一般受験は二度もすでに失敗していたので、全く異なる選抜方法が取られる編入制度は、もう一度自分もやり直せるかもと思えるものでした。

 ただ、その当時(も現在も?)、大学編入という入試方法はマイナーな存在であり、私は本当にこんな方法で大学に編入できるのか信じられない気持ちで、ただその予備校のホームページに記載された進学実績を頼りに、大学の一般受験の後期試験に失敗した受験生向けの説明会に、日本が震災で大変なことになっていた3月の2週目になって急いで申し込んだ記憶があります。

 説明会当日、その予備校は大阪にあったのですが、当時の大阪駅はまだ改装中で、駅の出口もわからず、また出口が分かっても駅から予備校への行き方もわからず、私は予備校の広報の方に電話で道を教えてもらいながら、なんとか校舎にたどり着きました。

 説明会では、たしか関関同立神戸大学に受かった先輩が、座談会という形でお話をしてくださった記憶があり、そこで本当に大学に入れるんだという気持ちで、編入予備校への入試の申し込みをしました。

 その申し込みの数日後、一応、入試という形式で、英語の試験と面接試験を受けました。英語の試験はごくごく簡単なもので、面接試験ではなぜ編入をしたいのか、例えば編入を目指すとして志望学部は決まっているか、普段から読書をするか、読書をするとしてどのような本を読んでいるか、といった質問をされて入試は終わりました。

 その後、合格通知が届き、また数日後にホテルで開催された入学式に行きました。合格から入学式までに日がなかったので、私は仕事が終わって帰宅した父親に連れられて家の近くにある閉店時間ぎりぎりのアオキでスーツを購入しました。編入予備校という、当初の目的からすれば不本意な進路の入学式のためのスーツでしたが、一般受験の後期試験が不合格に終わり進路未定の中でいったい自分はどうなってしまうんだという不安を抱えていた中で、諦めかけていた目標と進路を再発見し、ホッとした気持ちでスーツの試着をおこなった記憶があります。スリムなグレースーツに袖を通し、身を包み、もういちどがんばろうと、そういう気持ちでした。

 編入予備校の入学式は大阪城の近くにあるホテルで執り行われたのですが、いまふりかえってみると私が編入後に入学した学部の大学の卒業式は大阪城ホールだったので、距離でいえば目と鼻の先の場所で、編入予備校への入学、それから法学部からの卒業を迎えることができたわけです。そう考えると、いま自分が想像できないことであっても、がんばりやタイミング次第で思いがけない未来が待っていると言うことができそうです。

 その時の自分は、まさか現在も在籍している大学に(他の編入志望者はともかく)自分が本当に編入できるなんて想像することもできなかったのですが。

 ともかく私は編入予備校に入学し、2年間を過ごすことになりました。次の記事に続きます。

 

追記)現在のことは分かりませんが、この編入予備校の筆記試験はあくまで形式的なもので、入学後の英語クラスの振り分けのために行わったものであると聞きました。テストの内容は、一般的な大学受験における文法事項とセンターよりも易しい英語の長文を読み解くという形式のものでした。面接も特段、詰められる(笑)ということもなく、簡単に志望動機や学問的関心を問われるもので、予備校の同級生に聞くとうまく答えられなくとも合格できた、ということでした。

 それゆえ、現在でもそれほど不合格を心配するようなものではないと思います。