研究者を目指すという熱病

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政治学科目の編入試験対策として使用した参考書

 編入試験の受験生だった頃、法学部への編入対策としてささやかであるが政治学も勉強していた。このエントリーでは、政治学についてどのような参考書を用いて勉強を進めたかについて書きとどめておきたい。

 私の編入先は法学部の中に法学系の教員と政治学系の教員が共存する大学ではあったが、編入後にそれほど政治学の授業をとったわけでもなければ、ゼミに参加していたわけではないので、法学系科目の参考書のレビュー以上に、政治学系の参考書についての書評は困難であり、実質的に「どのような教材を使って受験勉強を進めていたか」の紹介にとどめたいと思う。

 それゆえ、編入予備校に通っていた編入受験生が、どのような参考書を用いて政治学科目の対策を行っていたかについてのサンプルを、この記事を読んでくださっている方に提示することを本記事の目的としたい。また、政治学について私はたいした編入対策をしなかったので「こんなもんでも大丈夫なのか」と安心して頂ければ、これ以上の喜びはない。受験生が、「勉強すべき範囲が多すぎる!」とそれほどナイーブになる必要がないというのが私の私見であり、一見、政治学の精確かつ詳細な知識が問われている問題でも自分の頭で考える余地とゆとりが残されているのが編入試験であると私は捉えている。あまりナイーブにならないでほしい。

 

川出良枝谷口将紀(編)『政治学』(東京大学出版会、2012年)

 私が受験生だった直前期に出たばかりだった、とにかくコンパクトな1冊。もともと予備校で使用するように指定された参考書が通読するのが死ぬほど辛くて、大してやる気も出ずに放置していたときに、もっとコンパクトで、参考書の中身をしっかり答案に反映できるくらいに覚えることのできる教材はありませんか、と先生に質問したところお薦めされたのが本書だった。元々、コンパクトなこの教材に、他の分厚めな参考書の情報を本書に書き入れるようにして、勉強を進めていった。

 章立ては以下となる。

第1章 民主政治の起源
第2章 民主政治の変容
第3章 福祉と政治
第4章 民主政治のさまざまな仕組み
第5章 選挙
第6章 議会と政党
第7章 政策過程と官僚・利益集団
第8章 世論とマスメディア
第9章 地方自治
第10章 グローバル化
第11章 民主政治の現在

 法学を勉強するほうが好きだった私にとって、政治学の勉強はどちらかというと苦痛に近かった。そもそも政治学の試験対策は、法学以上にどこまで勉強すればよいのか、皆目、検討もつかなかったからである。結局、本書をベースラインに、本書で取り扱われている領域以外の知識が問われれば諦めようというスタンスで、絞って絞って絞って、吹っ切るように勉強することにした。

 個人的にはスタバで読み進めた思い出のある一冊。

 

久米郁男ほか『政治学〔補訂版〕』(有斐閣、2011年)

   

 564頁もあるとにかく詳しい、辞書のような一冊。上述した「予備校で使用するように指定された参考書が通読するのが死ぬほど辛」かったのが本書である。私の時代であれば、同志社大学政治学科などの、法学部の中でも法律学科と政治学科が独立・並存している大学で政治学科の編入試験を受験される方や、単一の法学部の編入試験として政治学の問題が過去問で頻出されている大学の編入試験を受験される方は通読した方がよいのかもしれない、私は通読しなかったが

 

加茂利男『現代政治学〔第4版〕』(有斐閣、2012年)

 分厚い本を通読する気にはなれないけれども、上掲した東京大学出版会の『政治学』を通読しただけでは心許なかったので、何かもう1冊を通して読もうと思って購入した薄めの有斐閣アルマシリーズの入門書。個人的にはサクサク読めた。

 

高畠通敏『政治学への道案内』(講談社、2012年)

 教科書の、講談社学術文庫での復刊。文庫本としては驚異の600ページ越え。受験生だった当時、怠惰な私は当然、通読しなかった。副読書として知識を補完するために用いた。ただ、読み物としては面白かったと記憶する。

 

 以上が、実際に私が受験生だった当時、用いた参考書等である。いざふりかえってみると、私が受験生だった当時、出版ないし改訂、復刊されたばかりの本がほとんどであることがわかる一方で、2018年の現在からみると上掲の参考書が改訂されていないことにも留意すべきである。現在、これらの参考書が編入受験生にとってファーストチョイスとなるかは分からない。

 

 私が受験生だった後に刊行された本でお薦めできる一冊

砂原庸介・稗田健志『政治学の第一歩』(有斐閣、2015年)       

  

 学部1回生の私の後輩は、「政治学」をはじめて学習する入門書として有斐閣ストゥディアシリーズの本書を手にとって読み進めていた。以下のリンクを合わせて参照すると、本書の位置づけがズブズブズブの素人の私にも少しは理解できる。

書斎の窓 2016年3月号 政治学をどう教えるか――『政治学の第一歩』をもとに考える(上) 伊藤武・砂原庸介・稗田健志・多湖淳

  

 最後に、法学を大学で勉強したくて編入学を考えている方に少しだけアドバイスしておきたい。私は、どちらかといえば編入後に大学で法学を中心に勉強することを考えていたが、法学部が法学系教員と政治学行政学系教員で構成される大学に受験し、入学した。それゆえ、編入試験との関係では政治学も勉強する必要があった。

 だが編入試験対策という点では、法学に関係する試験でさえ、どこからどこまでを勉強すればよいか誰にも分からず、十分な対策になっているのか分からない真っ暗闇の中で手探りで受験対策を進めたという状況にあった。

 それゆえ、政治学に関係して出題される試験の受験対策は、自分が受験勉強に使用する教科書類を限りなく絞って、もしその教科書類で説明されている知識が出題された場合には絶対に答えられるようにし、もし発展的な知識が問われた場合にはこれは不合格になってもしょうがないとかなり割り切って受験に臨んだ。だから、このブログでは挙げていない参考書や新書などを頭の片隅に残っていればいいな、と気楽な気持ちで流し読みで一読した程度の本も少なくなかったという点ではそれなりに濫読したといえるのかもしれないが、「勉強勉強勉強!!!」という気持ちで頭に定着させた知識はかなり少ない。割り切って、楽な心で試験にむかうことが大事だと思う。結局、編入試験も相対試験なのだから、大学でよく読まれているオーソドックスな教科書や参考書を読み、その知識を正確に答案に吐き出せれば、それだけで他の受験生との競争で、相対的に浮き上がることができる。これは法学にもあてはまるし、あらゆる試験にあてはまる。そして編入試験で一番重要なことは、英語の長文和訳で構文を絶対に読み間違えないことが何よりも重要だ。編入試験では英単語なんて分からなくてもいいし、重箱の隅にあるような政治学や法学の細かな知識よりも、オーソドックスに他の受験者が確実に抑えている知識を、より精確に答えることの方が重要だ。

 また、編入試験を受験するにあたって予備校の活用を検討している方に向けて、予備校で私が受けた授業と、予備校に対する私なりの考え方を詳細に述べたものが以下のリンク先の記事となる。

hougaku-0106.hatenablog.com

法学科目の編入対策に用いた法律書と現在の私が受験生にお薦めする法律書は、以下のリンクの別記事にまとめているので参照していただければ幸いである。

hougaku-0106.hatenablog.com