研究者を目指すという熱病

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欅坂46の長濱ねるさんにはまっていること

 大学院生の、長い長い夏休みも中盤に差し掛かっている。夏休みが始まった当初は、もっとブログを更新する予定だったが、通常のゼミがなくなり、まとまった研究時間が手に入ると、なかなかブログを更新する気持ちになれずに放置していた。時計の針のことをすっかり忘れて、文献に取り組むことだけに時間を委ねる時間はいいものだ。私は自室で研究することが多いのだけれども、朝と夜とであまり変わりのない部屋の蒸し暑さのせいで、気が付けばすっかり日が落ちていることもある。

 もっとも、それほど勤勉なわけではないから、常に、机に向かっているわけではない。とくに最近、欅坂46の長濱ねるさんにハマっている。サイレントマジョリティが物凄く流行って人気に火が付いたのが2年半くらい前なので、ちょっと「乗り遅れた」感じもあるが、彼女のデビュー前、デビューの経緯、それから現在までの歴史によって、一気にファンになった。

 そもそも私が、長濱さんに関心を持ったきっかけは、彼女が中学二年生の頃に国語の教科書で重松清さんの作品を勉強した際に、そのおわりで教科書で重松清さんの他の作品(『エイジ』)のあらすじが掲載されており、1ヶ月間のホームステイ先のカナダで何度も何度も、長編である『エイジ』読み返したというエピソードだった。

 少年野球をやっていたが、あまり上手でなく中学では陸上部に逃げてしまった私にとって、中二のときに教科書で読まされた同じ重松清さんの作品である「卒業ホームラン」という短編を授業で初めて読んだとき、この作品は俺を殺しに来たと思った。というのも、少年野球をやっている主人公は、父が監督をしているチームで少年野球で1度も公式戦に出場できなかったにもかかわらず、監督である父親によって、6年生なのに公式戦のベンチ入りのメンバーにすら入れてもらえず卒業を迎えたにもかかわらず、父から中学では別のスポーツをしてみたらどうか、とさりげなく提案されたとき、「いいよ。だって、僕、野球好きだもん。」と、父の提案を一蹴するからだ。あまり読書経験がない自分にとって、たぶん、一番、心に残っている短編だと思う。

 だから、長濱さんが中学時代に国語の教科書で重松清の作品を勉強したとラジオで話しているのを聞いたとき、すぐに僕はそれに反応して、東京書籍に掲載されている「卒業ホームラン」という短編だと勘違いし僕とは全くかけ離れた、こんなに愛くるしくて可愛いアイドルが、もしかしたら同じ作品を同じ歳に読んで少なからず感銘を受けたのだという事実に「共通点」を見出して、ぐいぐいと彼女のことを調べるようになった。後になってから、長濱さんが中学時代をすごしていた長崎地区では光村図書の教科書を使用しているので、そこで掲載されているのは「きみの友だち」という作品だったので、全くの勘違いだということがわかったのだけれども。

 長濱さんの経歴は、興味深かった。両親が二人とも教師の彼女は、長崎県出身で、デビュー前には、県で公立高校として1番手の進学校に通っていたが、進路に悩んでいたらしい。「将来は空港のグランドスタッフになりたいという希望を持って」おり、高校卒業後に専門学校に進学するつもりだったところ、「学校からは当たり前のように反対され、4年制大学への進学を強く推されていた」なかで、「『結局、私は決められたレールをはみ出せずに、学校から言われたとおりに進学するんだろうな』」と考えていたことが紹介されている(『週刊プレイボーイ 2018年4月30日18号』、41頁、42頁)。

 また、「人間関係を極度に気にする性格だったので、教室の中にも窮屈さを感じ」(『週刊プレイボーイ 2018年4月30日18号』、41頁)ながら学校生活を送っていたようで、乃木坂が刺さった理由として、「歌詞です。そのころ、けっこう人間関係で悩んでて。学校の女子の間で嫌われないように、いつもがんばって自分をふるいたたせてました。ひとりで電車に乗ってるとき、乃木坂46さんの曲を聴いて泣いてた時期もあります。人に嫌われたくなくて、八方美人になっちゃうところは今でも変わらないんですけど」(https://hustlepress.co.jp/keyakizaka46_03/)とインタビューに答えている。

 雑誌ブブカの長濱さんへのインタビューの原点を未読なので孫引きとなるが彼女は、「両親や教師に言われるがまま進学校に進んだけど、そこから抜け出したかった」、「東京の大学に行こうと思っていたけど、それより先に上京できる欅のオーディションを知って応募し」、「チヤホヤされたくてアイドル目指したわけじゃない」と

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答えているところに、山と海に囲まれた長崎と彼女を取り巻く人、学校、社会に対する、窮屈さを感じる。

 最終オーディションのエピソードも鮮烈だ。最終オーディションの朝に一人で宿泊していたホテルで彼女は、オーディションを辞退するように上京して連れ戻しに来た教師であるお母さんと、欅坂のオーディション担当者との3者の話し合いの席で、「ひと言も発さずにしくしくと泣いてい」た(『週刊プレイボーイ 2018年4月30日18号』、43頁)だけであったことが紹介されているが、これについて、彼女でも、連れ戻しのときも親に怒られることが怖くて受け入れてしまった」

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 そうだ。羽田空港で、飛行機を待っているとき、たったひと言だけ「『お母さん、これで満足した?』」と問いかけたそうだ。

 彼女は、結局、彼女の父と欅坂の運営スタッフとの話し合いにより、最終オーディションを受けていないという理由で、当初はアンダーという位置づけの、「ひらがなけやき」として活動することになる。だから、デビュー曲の「サイレントマジョリティ」にも参加していない。

  デビューの経緯から彼女はシングルに参加していないが、長濱さんの生き方に「サイレントマジョリティ」の世界観はとても合っていると思う。「不協和音」もそうだ。長濱さんの「僕は嫌だ」は、平手さんの「僕は嫌だ」と同じくらい好きだ。

 いま、インタビューでどれだけ東京の大学に進学していたと思うと声高に振り返っているとしても、もし彼女がアイドルとしてデビューしていなければ、なんだかんだ、都内の大学へと進学して親元から離れていくことに対する、両親による家族の食卓でポツリと飛び出た不安の声に従って、彼女が地元の国立大学の教育学部に進学し、教師になっている姿さえ、想像できる。

 また、SHOW ROOMのある配信で、他のメンバーが楽しそうに大学に通う話をするのを、微笑みを作って、黙って聞く彼女の顔が、とても切なく感じた。

  しかし、進学校に通い、約束されていた将来に、明白なNOを突き付けてアイドルとしてデビューし、周りのメンバーが大学を受験し、そして通学し、あるいは受験勉強のために休業したり、レッスンを途中で抜けるメンバーがいる中で、高校を卒業してアイドル一本でがんばる長濱さんの姿は、一言で、惚れ惚れする。現役受験・浪人受験と何度失敗しても、「大学」にしがみつこうとし、たらたらと大学院にまで通い、あっちへ向いたり、こっちへ向いたりしながらとろとろ歩く、節操のない僕とは、全く生き方がかけ離れている!

 長濱さんの経歴はとても興味深い。たぶん、単純に顔が可愛いというだけではここまで彼女にハマることはなかったと思う。 

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追記)

まず、 長濱さんの、両親のことや、長崎のことを悪く書いてしまった嫌いがあるが、ご容赦を。

 たぶん私の記事を読んでくださる方の多くは、法研の院生か、編入志望者だと思うので、必ずしもKEYAKI坂に興味がある方ではないと思いますが、もしこの記事で長濱ねるさんに関心を抱かれた方は、ぜひぜひ『週刊プレイボーイ 2018年4月30日18号』41頁以下の「けやき坂46ストーリー~ひらがなからはじめよう~」を読んでみてください!!

 400円ちょいだから安いですし、大学図書館とか市の図書館にもバックナンバーがあるはずです!!!

 最後に、もともとこの記事は、QUICK JAPAN139号の西加奈子さん特集に長濱ねるさんが参加していることを書きたかったところ、どうしても長濱さんの経歴となぜ僕が長濱さんのことを好きになったかを説明することが必要となった結果、あまりにも長くなりすぎたために、ひとつの記事にしました。

 この記事で、重松清さんについての取り上げ方が、(おそらく)異様に大きいのも、どちらかといえば「小説」の話がしたかったという理由によるものです。

追記の追記!!!)

 ブログを書き終えた後に、長濱さんの写真集が届いた。写真集のインタビューの中で、デビュー前に悩んでいたことが赤裸々に述べられていて、これを読んでからブログにしてもよかったなあ、と思ったけど、インタビューで質問されてたらいいなって期待してたことがしっかり質問されてて嬉しかったです、はい!留学して、その場所から逃走したくなる気持ち、よく分かる。

 机に髪の毛が落ちてるし、足も映っちゃってるから汚いし、写真を撮り直そうかと思ったけど、スマフォからブログの更新したことないし、またスマフォからパソコンに画像を入れなおすのが面倒だし、まあ汚い画像だけど、ほんまに貧乏学生のニワカファンが写真集買ったんやっていうリアル感・生活感あると思うし、もうこのままでいいやって感じ!

 それと、この記事では、学業優先を理由に活動休止している、原田葵さんと影山優佳さんには特に、申し訳ないことを書いてしまったと自覚している。絶対、受験に成功して欲しい。

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