研究者を目指すという熱病

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法学部編入受験のメリット〔法学部への編入試験の受験を検討している方によせて〕

 標題のとおり、本記事では、法学部への編入試験の受験を検討している方に向けて、私が、編入試験を受験して本当に良かったと感じていること、編入制度のメリットなどを書きとどめてみたいと思います。

この記事は2020年3月に大幅に加筆・修正したものです。) 

 そのために、まず、編入試験に辿り着くまでの私の受験遍歴を簡潔に紹介したいと思います。私自身は、一般試験での大学受験に失敗し、途方に暮れていました。当時の私の学力はというと、そもそも出身高校の偏差値が38と非常に低く、そこからなんとか、全統模試で偏差値50後半くらいまでは高めることができたのですが、しかし、自分が志望する大学群には力が届きませんでした。

 ところで、そもそも私がなぜ、大学への入学にこだわっていたかというと、高校生だった頃にリーマンショックが起こり、例えば、「派遣村」などの報道をみて、今となっては安直な考えだったと思いますが、「学歴」がなければ就職できないと思ったことが一番の理由です。

 それゆえに、すでに述べた一般受験に失敗した後は、文字通り、頭が真っ白になりました。周りの友人たちが進路をとっくに決めて次の道に進む中、自分は完全に取り残されてしまったからです。

 私は、志望大学に滑り込む方法をインターネットを使って必死に探しました。

 そこで、私は見つけたのです。

 自分の志望大学に、一般受験よりも楽に入れそうな入試形式を!

 それが、編入試験と私との出会いでした。

 インターネットで見つけたのは、二年制の専門学校が提供する編入試験コースでした。

 私は、藁をも掴む気持ちでこの専門学校(同時に通信制の短期大学)に入学し、法学部への編入試験を目指すことになりました。

 

 さて、本題に入りたいと思います。

 以上のように、編入試験の受験生になった当時の私は、率直に言えば、関関同立に入学できない学力しかありませんでした。そのような学力しかなかったにもかかわらず、結果として、私は編入試験では、自分が当初想定していた以上の大学に編入することができました。 そのことに、まず、私は非常に満足しています。

 また、私が通っていた編入予備校では、私と同じように関関同立ないし産近甲龍に不合格となってしまった友人、同級生が大半だったのですが、彼ら彼女らも、京阪神から関関同立産近甲龍まで、法学に打ち込むにはかなり充実した環境の大学に合格していきました(なお、このような編入の情報提供についてのブログでは、私自身の合格大学を明示することが非常に重要であることも承知しておりますが、リアバレ防止をあくまで避けたいという私の意思をご理解していただければ幸いです)。

 

 このように一般受験において結果を出すことのできなかった私(たち)が、編入試験において、一般受験におけるよりも良い成果を出すことができたことには、次のような理由があると、個人的に思います。

 

 まず、第一に、編入試験では、自分の関心のある専門科目を使って受験ができるということを挙げることができます。

 例えば、私が受験した法学部の編入試験では、かなりざっくりと整理すれば、①英語科目、②法学・政治学科目+αが、受験科目になっている大学が多かったです。というのも、日本では、いわゆる「法学部」に、法学系教員と政治学系教員が共に所属する大学が多いからです。つまり、法学部に編入することを希望する受験生は、法学・政治学の知識が受験科目として問われることになります。

 それゆえに、一般受験の科目の「日本史」、「世界史」、あるいは「古典」、「漢文」のような勉強よりも、一言で言うと、正解に辿り着くことが困難な「学問」を勉強することに意欲的な学生にとっては、編入試験はピッタリかもしれません。

 実際に、私も、編入試験における「法学」の勉強をとても楽しく感じることのできた一人です。

 というのも、私は、-平成生まれだったにもかかわらず-管理教育的な指導を受ける中学・高校に通っていたことがきっかけで、「憲法」の勉強が、例えば、憲法学における「子どもの教育を受ける権利」や、「国、教師、親の(子どもに対する)教育権」をめぐる議論などが、とても身近に、きわめてアクチュアルな問題であると感じることができました。また、私が編入試験を受験する数年前に、憲法上の「思想・良心の自由」が問題となった公立小学校の教師の「君が代伴奏拒否」事件の最高裁判決が出されており、政治番組などで熱心に取り上げられていたことも、私が法学の勉強に、とりわけ、憲法の勉強に関心を寄せることのできた理由だと振り返ることができます。

 さらに、-これは後付けかもしれませんが-高校時代、生徒指導室に備蓄されていた(私と同性用の)制服のブレザーが、私が生徒指導室に入退室した前後に紛失したことが理由で、授業中に当該高校教員によって呼び出された私は、その日は授業を受けることも許されずに、別室の個室の中で、高校教員複数によって放課後まで取調べを受けた、という出来事がありました(このとき、そもそもなぜ私が疑われたかというと、ある高校の行事の予行演習のために夏であるにもかかわらずブレザーの着用が必須だったのですが、ブレザーを忘れてしまったせいで、私が生徒指導室で指導された直後に、生徒指導室に備蓄されていた予備のブレザーがなくなったので、私が盗んだのではないかと疑われてしまいました)。

 その密室での取調べの中で、「こっちはある程度、分かった上でお前(※私のこと)をここに呼び出しているんだ。」と、自白を強要されそうになったことは、今でも鮮明に思い出すことができます。

 私が、編入後の法学部の授業においても、刑事訴訟法学に並々ならぬ関心を抱き、大学院生となった現在でも、刑事訴訟法学から歴史的に強い影響を受けた問題を自分の研究テーマとして設定し、これに取り組んでいるのは、上記のような原体験に裏付けられているといってもよいかもしれません。

 このように、編入試験の受験を決意して以来、私にとって身近な学問として取り組むことのできた「法学」の勉強によって大学を受験することができたのは、とてもラッキーなことだったな、と振り返ることができます。つまり、換言すると、自分の好きな勉強(法学、政治学、経済学、経営学、文学、社会学、心理学などの)科目を使って受験できることは編入試験の大きな魅力であり、一般受験では必ずしも勉強に熱中することのできなかった受験生が、編入試験では良い結果を出すことのできる大きな理由であると思われます。

また、編入試験の試験形式は、一般受験のそれとは異なり、大学の期末試験のように「論述形式」が採られていたので、自分が勉強したこと、考えたことを、答案の中で自由に表現することができたのも、編入試験が、自分の肌に合っていた理由の一つかもしれません。

編入試験は、受験者それぞれが非常に自由に勉強ができるという印象を持っています。

 

次に、第二に、編入試験では、受験者の母集団が一般受験のそれよりも学力的に低いということを挙げることができると思われます。

例えば、京都大学を例にとって説明したいと思います。

京都大学に一般受験で入学するためには、まずセンター試験で高得点をとった上で、二次試験で合格点に達しなければなりません。この一般受験における「受験生」ないし「京大志望者」は、京都大学の一般受験の合格者、センター試験の結果をみて他大学(大阪大学神戸大学など)に出願大学を変更した者、京都大学に不合格となり同志社大学などに進学した者などで構成されています。

しかし、上記の意味における「受験生」ないし「京大志望者」は、-必ずしも-編入試験における京大志望の受験生とは符合しません。多くの一般受験で学部に進学した学生、とりわけ大阪大学神戸大学などに出願を変えた受験生を念頭において欲しいのですが、彼らは必ずしも、編入試験に参入しないからです。これは、編入試験がいまだに入試制度としてメジャーではないということに起因すると思います。これらの現象は、京都大学だけでなく、大阪大学神戸大学から産近甲龍にいたるまで他大学の受験においてもあてはまると思われます。

 以上のことは、一般受験というルートであればセンター試験および二次試験でライバルになる受験生の多くと、編入試験で競争することにはならないことを意味します。実際、編入試験において京大、阪大、神大に受験、合格するボリューム層は、-私の知っている限りでいうと-関関同立ないし産近甲龍といった大学群の出身者だったので、例えば京都大学にギリギリで合格することのできなかった一般受験の受験生が編入試験に数多く参入していない現状では、編入試験の受験生の母集団の基礎学力という観点では、一般受験のそれよりもやや落ちる、と整理することができると思います。不愉快な叙述でしたら、申しわけありません。しかし、私もその編入試験の受験者でした。

 このように受験者の母集団のレベルを整理することが適切であるとするとすれば、編入制度というのは、一般受験よりかは相対的に競争が熾烈ではないルートで、自分の好きな専門分野を勉強、研究するのに適した大学に進学することができると入試制度だといってよいと思います。

 また、やや話が変わりますが、編入試験であれば、一般受験とは異なり、国公立の大学を何校でも受験することができるので、失敗を恐れずに積極的にチャレンジすることができる点は、編入試験の良い点だと思います。

 

 最後に、第三に、かりに編入試験において自分の納得できる結果を出すことができなくとも、編入試験の勉強は、その後の大学生活、社会人生活において役に立つということを挙げることができると思います。

 まず、現在、すでに法学部に通いながら、他大学の法学部への編入受験を検討されている方に向けて、私が思っていることを書きたいと思います。このような大学生にとって、編入試験について消極的となる理由は、現在、在籍している大学生活と両立することができるか、これをより詳細に言うと、編入受験に失敗したときの保険として現在の在籍大学で単位を取得することができるか、ということを考えていらっしゃるのではないでしょうか。

 もっとも、次のことはわたしが個人的に思っていることにすぎないのですが、現在すでに法学部に通われている方は、まず、その大学における単位取得のために必要となる期末試験の勉強の延長であると考えてみればよいのではないかと思います。

 というのも、法学部の編入試験対策のために一般に学習することが必要とされており、編入受験の世界においてとりわけ「法学概論」とよばれる科目において勉強することとなるのは、民事法や刑事法、公法などにおける法制度の歴史、その基本的な思想、ならびに基本的なプリンシプルに関わる知識だからです。これらの知識は、とりもなさず、法学部の期末試験における基礎法学および、民法や刑法などをはじめとする実定法学における具体的な解釈論が問われる問題に、精確かつ誠実に答えるために、不可欠の前提知識であるといえます。

 このような意味では、編入試験のために必要となる勉強というのは、現在、あなたがすでに通われている法学部の期末試験の延長戦にあるのだと思えば、仮に編入試験の結果が芳しくなくとも、大学生活にとって有益なものなると、(私は)個人的に思います。みなさんがすでに所属している大学のゼミにおいて、ゼミ論文または卒業論文を書いてみるというような機会が与えられるとすれば、編入試験で得た知識を存分に生かすことができると思います。

 次に、現在、すでに大学の法学部に在籍している方だけでなく、他学部に在籍している方、専門学校や短大、高専、アルバイト、無職、社会人などの様々な立場から法学部への編入試験を検討している方に向けて、かりに編入試験において満足できる結果を出せなくとも、大学の法学部に編入することさえできれば、その受験勉強が、いかに、その後の大学生活、社会人生活において役に立つか、について私なりに考えてみたことを整理したいと思います。

 

 まず、法学部の編入試験においては、英語の試験科目が課されています。

 この英語の試験科目では、英語の長文和訳またはTOEICならびにTOEFLが、大学ごとに試験によって課されています。これらの編入試験のための勉強が、留学、就職活動、ならびに社会人となってからのキャリアアップのために役に立つことはいうまでもありません。

 また、編入試験対策のために勉強した法学についての知識は、公務員試験対策や、(本気で法学をやり続けるという強い意欲が必要となりますが)ロースクール受験、予備試験・司法試験対策につながると思います。かなり長期的スパンの戦略的な話となってしまいますが、例えば、いまこの記事をお読みになっているのが10代、20代前半であるとすれば、公務員試験対策の一環として、編入試験において出題される憲法民法の勉強をやってみよう、という考え方もできるのではないかと思います。編入試験がまさに一般受験のリベンジとしての機能をも持ち合わせているように、かりに編入試験の結果が芳しくない形になってしまったとしても、法学をやり続ける限りにおいては、その知識を存分に活かす機会があると私は考えています。こうした意味で、その先の将来の、幅のあるキャリアプランと両立することのできる制度として、私は編入試験を捉えているので、法学というのものに少しでも関心を抱いている方には、ぜひ編入試験をお薦めしたいです。やや冗長となりますが、もし万が一、編入受験に失敗したとしても、「実質的にはダメージ0」なのかな、と思います。積極的にチャレンジして欲しいな、と思います。

 

 さて、以上では、編入試験を受験して本当に良かったと感じていること、編入制度のメリットなどを、自分なりに整理してみました。

 もっとも、私が編入試験を受験したのは、今ではかなり昔のこととなってしまったので、ひょっとすると、情報が古くなってしまっているかもしれませんので、この点については、ご海容いただければ幸いです。とりわけ、私が受験した頃に比べると、編入試験という制度自体の認知度がより高まっているかもしれないという意味で、受験生の母集団のレベルが上がっているかもしれません。他の編入試験の情報を提供しているホームページ、ブログなどをあわせて参照していただければと思います。

 

 最後に、私自身のことについて少しだけ書かせていただきたいと思います。

 私は、2020年3月現在、法学研究科に博士後期課程の院生として在籍しております。

 一言で言えば、法学の研究はとても楽しいです。

 そのような研究ができるのも、学部時代からいつも変わらぬ熱心な指導をしてくださっている指導教授と出会うことができたのも、研究上のアドバイスを親身にしてくださる他の先生方と出会うことができたのも、編入試験に出会うことができたからです。編入試験を受けて、とても良かったと私はいつも思っています。

 ここまで、このブログをお読みくださった方にはぜひ、-編入試験を受けるか受けないかにかかわらず-ご自身の納得できる進路を選び取っていただきたいと思います。どの道に進んでも、一生懸命がんばれば、必ず報われると私は確信しております。

 

 さて、次のリンク先の記事は、私が編入試験についての情報提供として書いたものです。ぜひご参照していただければ、幸いです。

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